産後の母体の変化
出産は、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても大仕事です。
産後はやっと対面できた赤ちゃんに意識がいってしまいご自身のお体になかなか意識が向かないですが、
産後の体の中は大きく変化し、傷つき疲れています。
・後陣痛
お腹の中で赤ちゃんは大きく成長します。それと同時にお母さんの子宮も大きく成長します。
出産を終えると子宮は妊娠前の元の状態に戻ろうとしますが、この時それに伴う痛みが生じます。
これを後陣痛といいます。この子宮収縮には3週間から4週間かかるといわれており、その間お母さんは安静を保つことが大切です。
・悪露(おろ)
出産時に排出された、胎盤や子宮からの分泌物や血液などを悪露といいます。
生理ででる血液量よりもはるかに大量の血液や分泌物が排出されるため、通常のナプキンでは対応できないので、
産後パッドや産褥(さんじょく)ナプキンを使います。
はじめの3日から4日は、悪露は赤く血液と同じ色をしていますが、やがて褐色がかってきて、最終的には透明色に変わります。
・産後うつ
産後に起こる精神の不安定を産後うつといいます。通常出産してから1か月までに起こるといわれていますが、
原因は主にホルモンバランスの崩れです。出産という一仕事を終え、やっと落ち着くことができた時期に、体の不調やハードな育児がのしかかり、体と精神のバランスが崩れがちなことも原因といわれています。
人によって症状はさまざまで、涙もろくなったり、イライラしたり、不安感が抜けなかったりと異なります。
・乳房の変化
出産と同時に、お母さんの乳房も授乳のための準備に入り、産後1日目から3日ごろに黄みを帯びた初乳というものが出始めます。
初乳は赤ちゃんのために必要な免疫抗体や栄養がたくさん詰まっていますので、必ず産院などでも飲ませるよう指導を受けます。
その後白色のお乳に変わってきますが、赤ちゃんにとって母乳は約6か月間病気から守ってくれる大切な栄養源です。
・体重・体型の変化
出産のために大きく突き出たお腹も、やがてともに戻ってきます。
出産直後に減少する体重は、おおよそ5キロから6キロほどです。
その後、赤ちゃんを守るためについていた皮下脂肪が徐々に減少していくと言われています。
しかし、お腹周りのなかなか落ちにくい脂肪、大きくなったお尻、むくみがちの脚など、多くの方が体型の変化で悩んでいるというのも事実です。
・骨盤の変化
妊娠中、赤ちゃんが成長するために骨盤は大きく広がります。
出産のときにも骨盤はさらに広がることになります。
通常元の位置にきちんと戻ってくれるものですが、
少しでも歪みやズレがあると腰痛や股間節の痛み、背中の痛みなどに悩まされることになりますので、
正常の位置に戻るよう骨盤矯正を受けると安心です。
上記のように様々な変化が産後の母体には起こります。
母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間を産褥期といいます。(通常、6週間~8週間の期間が必要といわれています。)
産後回復のための大切な期間ですが、育児におわれ、自分の体を気に掛ける暇もないほど忙しい日々が待っています。
2時間おきの授乳やおむつ替え、夜泣きなど、お母さんは赤ちゃんのためについつい無理をしてしまいがちですが、
赤ちゃんにとって一番大切なのは、お母さんの健康です。
これから赤ちゃんが大きくなるまでの間、育児を頑張っていくためにも、産後はしっかりと休息をとるよう心がけましょう。